おいらの動作確認。

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【読み物】「遺書ライター」

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ある日、1人の少年が亡くなった。

自殺だった。

 

少年の死は何の前触れもなかったため、家族はもちろん。友だちや学校の教師たち、少年を知る近所中の人たちも驚きを隠せなかった。

 

『全校生徒、起立。』

『礼。』

『着席。』

 

「今朝は・・・。とても、とても、悲しいお知らせがあります・・・」

少年の学校の校長先生が声の震えを襟立たせるように語りはじめた。生徒はみな察している。涙を流し、鼻をすする者もいる。生徒でけでなく教師もだ。

 

校長先生は少年のことについて話はじめた。

「~君のご両親たっての希望で、ここで遺書を読み上げます。」

そんなことがあるだろか、筆者には分からないが。

 

「ちょっと心配だから、じいちゃんとばあちゃんのところに行ってくる。いつ帰ってくるか分からないが、待ってて欲しい。」

そんな遺書があるだろうか、筆者には当然分からない。 

 

「ご両親から伺いましたが、父方も母方も祖父母はとっくにお亡くなりなっているんですね。」

校長先生は、指を突いたらだけでもう泣きそうな声を堪えてそう言った。本当に必要なことだったのだろうか。不明。

 

  

──1週間前。

 

 

コメダ珈琲的な高倉町珈琲的でもある感じの喫茶店。

この時、あの亡くなった少年は、ある男に会っていた。

男はこう言っていた。

 

「きみぃ、もはや、死にたくない、かい?」

第一声でそれかよと突っ込みたくなるキャラである。

 

だが、少年はしばらくの沈黙を経てからこう言った。

「はい。今すぐ死にたいんです。」

 

男は、少年のココロのスキマをお埋めします的な感じに、少年の考えてることがお見通しなエスパーなのだろうか。

確かに黒ずくめの格好だが、顔はどう見てもじじいである。

 

「じゃあ、そだねぇ。どういうあんじに死にとーいかい?」

これは原文ママである。誤字でも誤植でも乱丁でもない。

 

少年はよーく考えて静かにこう言った。

「自殺の動機をさとられないような・・・」

 

「じゃあ、ああ、そっすね、あれです。遺書が重要です。」

男はテキトーそうにそう言ったが、少年には何故か自然に真っ当そうな感じの返しに見えてるかも知れない? さあ?

男はガムシロップの殻をちょろっと舐めてコーヒーを飲んだ。

 

「でも、遺書なんか書いたらなおさら、動機がバレるのでは??」

少年はマンガチックな額汗を書きながらこう言う。

 

「のんのんのん! のんのんのん!」

と、間髪をいれずに男はこう言った。

明らかにこのリズムは「涙のブレイク・アウェイ」だろうか? うちにも知らないのん。

 

男は、マンガチックに目が影で隠れてこう言った。

「何を隠そう、私は遺書ライター。隠すつもりなあし。この記事のタイトルが、キミには読めるかい?」

メタ発言をやめためえ。めたぼじじい。

 

「そんなに、遺書の1つで死後が変わるもんなんですか?」

妙な説得力を感じたのが、主人公補正的な話の流れを読み取ったゲストキャラ感のする少年は鋭い質問をした。

 

男は静かに( ̄ー ̄)ニヤリッ みたいな顔を浮かべ。

「ご安心くらさい。 そら死ねば分かりますよお。」

 

・・・何言ってんだこいつ。

少年もそんな顔をしているがな。

 

 

すると男は、すばやさ50ほどの速さで、すてきな紙にペンで遺書を書き、少年は目が飛び出るギャグマンガばりのリアクションをみせるも失敗して次のような声を発した。

「えっ」

 

男は少年に紙を見せると、少年は静かに読み上げた。

 

「ちょっと心配だから、じいちゃんとばあちゃんのところに行ってくる。いつ帰ってくるか分からないが、待ってて欲しい。」

 

なんということでしょう。

あら不思議。少年は自殺の意思が固まったのだ。

何故? なんで? どう言う感情なんだよ!?

 

少年が生まれる前に亡くなってしまった母方の祖父母と、父の仕事の事情であまり会うことのできなかった父方の祖父母に会いたくなってきたではないか。

 

しかも、筆跡鑑定では少年と一致しそうなくらいのクオリティであり、そのまま遺書としてお出しできるやつや。

 

「すっげ・・・ぇ」

少年は不思議と胸のつかえが取れるような感じにラクになったのだ。

 

「ご用命ありがとうごいやす。後ほどあの世で会いましょう。」

そう言って、ふたりは席を立ちレジに向かい、男はおごろうとしようも、300円足りずに少年が不足分を出してあげた。

 

少年は男にこう言った。

「ありがとう。おじいちゃん・・・」

そしてふたりは別れた。

 

さて、少年はこれからどこに向かうのだろうか。

 

たぶんこれ以上、つづかない。

おわり。